消費者庁等の地方移転に反対する意見書2通掲載しました

全国消費者行政ウォッチねっとでは、消費者庁等の地方移転に反対する意見書を発表しています。概要は以下のとおりです。

原文はこちら 消費者庁・国民生活センターの地方移転に断固反対します!
政府関係機関移転基本方針の公表をうけ,改めて消費者庁等の地方移転に反対します!

 現在,政府では,「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき,政府関係機関の地方移転を検討しています。この募集に対し,徳島県が消費者庁並びに国民生活センターの誘致提案を行ってい ます。
 もちろん,東京の一極集中は,我が国における重要な政策課題であることは,我々も十分理解しているつもりです。 また,徳島県が消費者行政の先進県であり,特に「消費者ネット」の構築やその担 い手である「くらしのサポーター」の育成等,全国の範となるべき活動を積極的に行 っていることについても,我々の活動目標である「消費者市民サポーター」の理念を 体現するものとして常々高い関心と敬意をもっているところです。
 しかし,消費者庁,国民生活センターを地方に移転することは,これらの機能を大幅に減衰させると考えられます。よって私た ちは消費者庁・国民生活センターの地方移転については断固反対いたします。
 具体的に考えられる弊害は以下のとおりです。

1 消費者庁
① 企画立案機能(立法機能)の減退
 消費者庁は,消費者行政の企画立案機能を持っています。この機能の前提と して,国会・政党に頻繁にアクセスするとともに,他省庁との調整や審議会・検 討会の開催,消費者団体や事業者団体との意見交換等の関連業務も日常的におこなっています。仮に地方移転ということになれば,これらの業務は大幅に制限されることが懸念され,機能の低下は必至です。

②  司令塔機能の減退
 消費者庁は,現在38本の法律を所管していますが,多くは他省庁との共管と なっています。これは,消費者庁が消費者の視点から司令塔としての役割を強く期待されているためです。そのためには,情報収集・分析機能を充実させるとともに,関係省庁と頻繁 なアクセスを行うことが不可欠です。地方移転によってこうしたアクセスが阻害され,機能低下するこ とが懸念されます。

③ 執行機能の大幅低下
 行政処分を行うには当然の事ながら事業者からの事情聴取や立入調査等の事実調査が必要ですが,事業者の多くが首都圏に集中しているため,事実調査の多くも首都圏で行われることになります。 このため消費者庁が地方に移転されると,事実調査に多くの時間とコ ストがかかることが予想され,迅速な執行が阻害される可能性が極めて高いと思われます。

④ 人的資源の減少
 消費者庁は,現在約300名の正規職員と200名程度の非正規職員で成り立っています。地方移転した場合,少なくとも非正規職員については多くが離れていく可能性があります。非正規職員といってもその内容は専門性が高く,正規職員に準じた能力を要求されます。 これらの人員の多くが一気に削られた場合,消費者庁全体の機能低下につながるおそれがあります。

⑤ 消費者団体・事業者等とのコミュニケーション能力の低下
 消費者庁は現在,消費者団体や事業者等と日常的に意見交換,情報交換を行っています。地方移転ということになれば,このようなコミュニケーションが著しく阻害されることが懸念されます。むしろ今回の議論を契機に,消費者庁の手足として地方支部分局の設置を検討 して頂ければと思います。まずは徳島に地方支部分局を設置するというのであれ ば大賛成です。

2 国民生活センター
① 消費者庁・消費者委員会等との連携の低下
 国民生活センターは,全国から集まってきた被害情報を分析して 注意喚起や各省庁への提言を行う際に関係省庁とのすりあわせを行ったり,消費者庁との間で情報分析についての定期的な協議会を設けたりしています。 これらの業務には他省庁担当者との法令解釈や方向性についての密な協議が不可欠です。 地方移転によってこれらの機能が大きく後退する可能性があります。

② 人的資源の減少
 国民生活センターは現在半数近くが非常勤職員であり,地方移転によって一気に人員が減少する可能性があります。また,ADR や試験委員会等外部の有識者と の審議会的組織も複数ありますが,これら外部の担い手の確保も課題となります。

③ 消費者・事業者等とのコミュニケーション能力の低下
 国民生活センターが被害予防情報を発信する際は,関係事業者からのヒアリング等を行っています。現在行っている消費者団体との意見交換やマスコミとの関係も希薄になることが懸念されます。このため 地方移転によって情報発信機能やコミュニケーション能力が後退する可能性があ ります。

 以上の通り,消費者庁・国民生活センターの地方移転には,さまざまな弊害が予想されます。 よって私たちは,いずれの組織についても地方移転することに反対します。