公益通報者保護法改正法案の今国会における成立と, さらなる規制強化に向けた充実審議を求めます!

本日政府は公益通報者保護法改正法案の国会提出を閣議決定しました。
同法案は,2004年の法案成立から抜本的改正がなされないまま16年が経過しているなかで,刑事罰付の守秘義務の導入,行政処分付の内部通報体制整備義務の導入(300人以下の組織については努力義務),行政や報道機関等への通報の要件緩和,退職者や取締役への保護対象の拡大等,真の通報者の保護に向けた大きな一歩を踏み出すものです。公益通報者保護法の抜本的改正を求めてきた当ねっととしても一定の評価ができる内容となっています。
よって同法案の今国会での成立を強く希望いたします。

他方で,同法案にはさまざまな課題があります。もっとも重要な課題は,不利益措置を行った事業者に対する行政措置・刑事罰が見送りになっている点です。現行法では,不利益措置に対する民事ルールのみが規定されており,通報者が自らのリスク・コスト・時間をかけて不利益措置の無効等について民事裁判で争わなければなりませんでした。他方,不利益取扱いを行った事業者へのペナルティが定められておらず,十分な通報者保護となっていませんでした。このため消費者委員会専門調査会のとりまとめにおいても,不利益措置を行った事業者に対する行政措置の導入が提言されていたわけですが,今回の法案にはこれが盛り込まれていません。また,不利益措置の効力が民事裁判で争われた場合の立証責任の転換や,証拠書類の持ち出しに対する免責ルールの明文化等,他の重要な論点についても,盛り込まれていないものや不十分なものが散見されます。
さらに,内部通報体制整備義務の内容が抽象的なものであるため,ガイドラインの内容次第では,事実上規制が骨抜きとなる可能性も否定できません。このため国会審議を通じて具体的な整備義務の内容を詰めておく必要があります。
今回の国会審議においては,これらの課題について充実した審議を行い,法案修正や附帯決議等により,さらに実効性ある法改正を実現して頂きたいと思います。

意見書PDF